東京韓国商工会議所の最終目的は「在日同胞の地位向上」- 金光一会長インタビュー
入力 : 2013-06-25 13:46:13 / 修正 : 2013-06-25 13:46:13

1961年5月20日に結成され、2010年には50周年を迎えた東京韓国商工会議所。終戦後、全国各地に分散している在日同胞商工人経済団体を総網羅する組織体をつくり、現在は個人、法人を含む300名の会員で運営されている組織だ。 


東京韓国商工会議所は、業種別部会や各種セミナー、税務相談など在日商工人の振興発展に努めながら会員企業の健全な経済活動ができるようサポートすることが設立目的であり、今も在日商工人社会で重要な役割を果たしている。


しかし経済活動の支援だけを目的として事業展開をしてきたとすれば、半世紀以上在日商工人社会で中心的な存在にはならなかったはず。<スポーツソウルジャパン>は6月19日、東京新宿区歌舞伎町にある東京韓国商工会議所を訪れ、金光一(キム・グァンイル) 会長から当会議所の目的と最終目標について聞いてみた。 

 

経済的な発展を遂げ、日本での在日同胞の地位を向上させるのが最終目的であると語る金光一会長。|安・ビョンチョル記者

 

-東京韓国商工会議所の歴史について説明してください


1961年、敗戦後の日本社会において、我々在日同胞の経済力というのは現在とは比較にならない程のものだった。マイノリティーにとって経済力は、そのまま社会的地位に直結する。この社会的地位をあげる事こそが、在日同胞にはもちろんのことで第一の目標だった。当時は1959年に設立された韓国経剤連盟をはじめ、日本全国に在日同胞の経済団体が存在した。しかし各々がそれぞれの地域で活動するに留まり、在日同胞全体の地位向上を目指した経済団体は見受けられなかった。これには本国からも指摘があり、当時韓国政府は、日本との新しい関係を目指した。そんな中、「在日同胞経済人の声を聞きたいが、適した全国組織が無い」という当時の張勉(チャン・ミョン)国務総理の言葉を、会合に参加していた李康友(イ・ガンウ)氏が聞くことになる。この、李康友氏こそ、東京韓国商工会議所初代会長であり、在日韓国商工会議所の初代会長である。そして、1961年に全国組織を前提として、先ずは首都である東京に組織されたのが東京韓国人商工会で、現在の東京韓国商工会議所である。今の私が11代の会長であり、一昨年設立50周年を迎え、現在設立してから52年になる。
 
-東京韓国商工会議所の設立目的について


「韓国と日本にいる経済人の交流をより活発にさせたい、そのためにはお互いにいつでも疎通することができる窓口が必要だ」ということを実現したのが東京韓国商工会議所であり、それが第1の設立目的だ。こういう窓口を通じて韓国と日本の商工人が情報交換や人的交流などを行い、経済的な面でより大きな発展を図れる。経済的な発展を遂げ、日本での在日同胞の地位を向上させるのが最終目的であり、先輩たちが過去50年間東京韓国商工会議所のため、時間と資金を投資した本来の理由もある。
 
-現在、最も力を入れている事業や活動は?


現在、会員企業の発展のため、勉強会・交流会を開催している。また、ゲストを招いた講演会も主要活動の一つである。こういう事業によって会員間や関連団体等の交流に力を入れている。こういう全ての活動に共通することは、「人」である。人がいなければ何も始まらないという考えを基に、会員拡大に東京韓国商工会議所の全力を傾いている。この延長線の意味で民団、韓国企連、OKTA東京、在日韓国貴金属協会、農食品業界、韓人会などとの交流にも力を入れている。
 
-会長の経営原則及び理念があれば?


「団結すれば立ち、分裂すれば倒れる」という言葉を胸に、日々活動している。今は事実上、不景気である。何の事業が明るい、或いは明るくなるかは誰も分からない。一生懸命悩んで先を決めることも方法だが、新しい事業について人と話し合うことが重要な時期だと思う。人との疎通を通じ、守る姿勢ではなく攻める姿勢で新しい挑戦に臨むのが成功のキーであり、韓国商工会議所の運営原則である。

 

―在日商工人や関連機関とのお付き合いは?


たくさんの在日商工人と付き合っているが、特に最近では東京韓国商工会新宿支部との付き合いが増えた。お互いの新年会に出席したり、お花を贈ったりという活動からスタートし、先日の当会議所第52期定期総会には新宿支部から出席もしてもらった。今後はもっと具体的な連携をとって事業を展開する計画だ。
 
-在日韓国商工人社会の近況は?


日本のバブルが崩壊してから10年が過ぎた時点でやっと回復の兆しが見え始めた。しかしその流れはリーマンショックで勢いを失い、それに在日同胞の基幹事業と呼ばれるホテル業、飲食業、娯楽業などに多くの規制がかかってきた。在日商工人にとっては茨の道の連続で在日同胞の歴史の中でも最も良くない時期だった。最近円安株高の傾向で日本経済が少し活力を帯びることになったが、北朝鮮との政治的な絡みでまた日本に住む在日同胞全体に何らかの不利益が与えらる可能性はある。韓国と日本の関係改善も重要だが、在日商工人の立場では北朝鮮を含む北東アジアの安定が自身の事業、生活などを安定させるために欠かせないことだ。 

 

金光一会長は、感情的になって日本全体を敵に回すのは避けるべきだと強調した。|安・ビョンチョル記者

 

-在日同胞社会は「在日」と「ニューカマー」社会が分立されている。お互い商工人との交流はあるか?


当会議所では積極的に交流を行っている。在日韓国人の経済人団体とは積極的に交流をもち、各団体長に当会議所の理事や、常任理事になってもらい、各種催しにも参加してもらった。我々の事務局が新大久保のど真ん中にある。新大久保はニューカマーの歴史が深い地域で、ニューカマーの勢いや商売に対する姿勢をみると、我々在日同胞経済人が忘れかけていたモノを感じる。我々もニューカマーから学び、ニューカマーにも我々をみて何かを感じて頂く。これが出来るよう、今後とも積極的な交流を続けていく。
 
-東京韓国商工会議所が指向する「役割」と「責任」とは?


我々の設立当初の役割は在日同胞の社会的地位向上だった。もちろんそれは今でも変わらないが、先輩たちの50年に及ぶ歴史の中で一定の成果をあげられたのは、言うまでもない。時代が変われば役割も変わる。現在は何と言っても世界的な不況のまっただ中にある。このような状況の中、どうすれば会員企業が事業を継続し、発展させていく事ができるか。これを考え、具体的に実行して行く事こそが我々の役割であり、責任ではないと思う。
 
-韓国商工人に対して伝えたい言葉があれば?


株価が高いといって好景気とは言えない。こういう時期でこそ同僚などと話し合い、情報交換を積極的すべきだ。在日であれニューカマーであれ、同じ民族の仲間である。お互いの心の壁を破ると、より広い世界に出会うことができ、不景気の中で生き残る道を見いだすことができると思う。さまざまな意味で勇気が必要だが一緒に頑張っていきたい。

 

-韓国政府に対して要望事項などがあれば?


最近、日韓間の政治問題で在日同胞社会は大きな影響を受けた。経済面でも同様だ。独島(日本名、竹島)の問題や歴史認識問題など両国の間では様々な問題があり、必ず解決しなければいけない。しかしこういう敏感なことを政治的に利用しようとする政治家がたまに目に見える。まずはこの政治家たちを降板させないといけない。また、感情的になって日本全体を敵に回すのは避けるべきだ。特に日本人の反韓感情より韓国人の反日感情がより強い。歴史問題などは絶対忘れてはいけないのだが、必要以上の反日感情は両国の関係に何の利益にもならないことを理解してほしい。スポーツや食文化、観光などさまざまな分野での文化交流を行い、これまで以上に両国のいい関係作りに力を入れてほしい。

 

-今後のビジョンと抱負は?


東京韓国商工会議所はこれからも、日本社会での在日同胞の地位向上のため、在日商工人の基盤産業強化に役立つ事業や活動を展開していきたい。また在日とニューカマーの間で置かれた心の壁を破り、本当の協力ができる日まで全力を尽くす。

 

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