“新韓流”を語る!-韓流発展協議会の朴成鎭会長
入力 : 2013-07-12 19:53:30 / 修正 : 2013-07-12 19:53:30

 

韓流発展協議会(以下、韓発協)の朴成鎭(パク・ソンジン)会長は異例の履歴の持ち主だ。自ら作詞・作曲した『夕焼けの海』という歌が1993年MBC「大学歌謡祭」で銀賞を受賞し、その後には「M」(イ・ミョンセ監督、2007年)、「純情漫画」(リュ・ジャンハ監督、2008年)、「危険な関係」(ホ・ジノ監督、2012年)など韓国映画のプロモーション業界で従事し、現在は‘日本精密株式会社’で管理統括取締役兼新事業企画室長を務めている。このような文化やエンターテイメントに関連する多彩な現場経験が響いたのか、朴・会長と初めて会う人は他の機関や団体などの長からは感じ取れない進取的で気さくな態度に最初から引かれることになる。

自らも権威主義が最も嫌いだと語った朴・会長は、約1時間のインタビューの間で、時には直接的で、時には照れくさの笑いで韓流に関する率直な考えをよどみなく話した。韓流が持つ意味と範囲、そしてあれらを通じた韓日の発展構想などは、これまでメディアや活字媒体ではなかなか接することが難しい深い考えが含まれている。

 

<スポーツソウルメディアジャパン>は、6月28日、埼玉県川口市の朴・会長を直接訪れ、韓流の定義と展望、そして韓発協の目標について聞いてみた。

 

韓流発展協議会の朴成鎭(パク・ソンジン)会長。|安・ビョンチョル記者 


-韓発協の歴史と活動について

韓流発展協議会は、日本国内での韓流をきっかけに、韓日両国の文化的共感と相互理解を増進させるために2005年6月に発足した。当時は在日コンテンツ企業や韓国の公共機関など9つの機関で始まったが、8年が過ぎた今には、30団体46人の会員で量的、質的な面で名実共に韓流の第一線で活躍する企業を網羅する集いに大きく成長した。2010年には「第2回大韓民国の韓流産業大賞」で特別賞を受賞するなど、韓流が持つ意味と範囲を定義・活用して政治的に解決できない多くの韓日の問題を解決していくために努力している。韓日の文化的共感と相互理解を拡大するため、様々なイベントやセミナーの開催、韓流関連のイベントサポート、両国の文化に関連する企業や機関間の交流などの事業に力を注いでいる。


-韓発協の事業の中で最も重点を置いている事業があれば?

韓発協は、利益を追求する団体ではなく、情報や意見を共有するための会としてスタートした。最初は韓流関連セミナーや交流会の開催、調査研究などを行い、韓国政府機関には現場の声を直接聞くことができる窓口の役割を、民間企業には韓流に関連する情報とニュースを共有することができるネットワークの役割を担った。今もそのような役割には変わりはないが、韓流のジャンルが映画やドラマから食べ物、お酒など様々な韓国文化にまで波及しているため、これに遅れをとらないように協会の機能も拡大している。韓流が日本でソフトレンディン或いは定着するためには、政府機関と民間企業が韓流のイメージを守る努力が必要だ。韓発協はそのための支援活動を続けていく方針だ。


-韓流を定義すれば?

韓流という言葉をそのまま解釈すると、韓国の流れとなる。流れは時代を導いていく。アレキサンダー大王の東方遠征によって触発されたヘレニズムがこの後のローマに影響を与え、ローマの文化は西洋文化の基礎になった。韓流は現在、巨大な流れを創り出している。日本を始め、アジア、南米、ヨーロッパなどで大きな反響を呼び集めている。ヘレニズムのように時代をリードする巨大の流れまではいかなくても、間違いなく今時代の主な流れの一つである。
その流れの原点を探っていくと、表現の自由が社会的に表出し始めた1998年、金大中(キム・デジュン)政権発足後まで遡る。その時代から文化に多くのサポートが行い、映画にも資本が流れ込んだ。それと同時に、タブー視された内容や不便な真実などが作品として本格的に登場した。代表的な例として、「JSA」(パク・チャヌク監督、2000年)や 「トンマッコルへようこそ」(パク・グァンヒョン監督、2005年)を挙げられる。以前まではできなかった北朝鮮に対する新しい描写や温かい視線が盛り込まれ、国内だけでなく世界的にも多くの注目を集めだ。多様な想像力とそれを表現しようとする“creative時代”が到来したのだ。1990年後半から見え始まった表現の自由と文化的なサポートが、良質なコンテンツを製作するのができる基盤となったのだ。その土台の上で作家や監督など多くの創作家がトライした様々な試みが今日に至って韓流という巨大な流れになったと思う。
日本の人々は今年を韓流10周年だと定義する。韓流とういう火が炎炎と燃え立つきっかけになったペ・ヨンジュンの「冬のソナタ」が日本で初放送されたのが2003年であるからだ。丈夫な文化的基盤に基づいて、ペ・ヨンジュンやチャン・グンソクに代表される韓流スターが誕生し、その流れを繋いでいく。‘韓流はこれだ’と端的に言うことはできないが、このような韓国人の努力が集まって誕生した結果ではないと思う。


-韓国コンテンツのレベルを評価すると?

世界的にも韓国のコンテンツは、どの国と比べても劣らないレベルだと言えるくらいだ。ただ一部の人々が乱発する似たようなパックリ作は残念に思う。流れに便乗するため、度を過ぎるほどビジネス的なアプローチを優先する。もちろん、ビジネスという側面も軽視できないが、過度な利益追求は、お金も評価もすべて失うことになる。ビジネスの側面にも満足できる高品質のコンテンツ制作が今後の課題だ。


-韓日の政治的、歴史的な対立が深刻化しつつある。韓発協の会長としての意見は?

韓日の歴史認識や独島問題などは、発展的な関係作りのために必ず解決しなければならない懸案だと思う。ただし、政治家のパーワーゲームに文化人たちが被害を受けている現実がとても残念に感じる。例えば、昨年公開された「危険な関係」という韓中合作映画がある。これまで3回もリメイクされた名作でチャン・ドンゴン、チャン・ツィイー、セシリア・チョンが主演、約200億ウォンが投資されたホ・ジノ監督の作品だ。しかし、中国と日本の尖閣諸島問題が昨年深刻化し、作品の日本への輸出が挫折してしまった。お金もお金だが、その中に込められた文化人たちの努力と熱情が政治的な問題で無駄になった代表的なケースだ。韓日の場合は、より実質的だ。韓国では、日本の観光客が大幅に減少しており、日本でも韓国製品が売れなくなったとのニュースが聞こえてくる。急成長ぶりを見せていた新大久保の韓国料理店は、売上高が半分になり、東京のあちこちで反韓デモが連日起こっている状況だ。韓発協の会員社も昨年の余波でまだため息をつく。韓流の発展を目的として設立した韓発協の会長として、あまりにも残酷な現実だ。

 

韓流発展協議会の朴成鎭(パク・ソンジン)会長。|安・ビョンチョル記者


-韓発協の役割は?

政府機関と民間企業が一緒に作った協議体は珍しい。そのような面で韓発協は、現在の困難さを共感して正確に伝えることができる数少ない団体中の一つだと思う。民間企業は野戦司令官である。韓発協には、現場の野戦司令官の声を政府機関に直接伝えられる利点がある。たとえば、韓発協の会員社が韓国のアーティストを日本に招待したことがある。しかし、時期が時期だけにビザ発給の遅延が続き、事業に支障が出るようになった。韓発協がこの事実をすぐに韓国の公共機関側に伝達し、在日韓国文化院が直接動いてビザの遅延問題を解決してくれた。
一線の民間企業が遭う困難さを公共機関に伝え、公共機関が動くように支援射撃をする。このようなプロセスとネットワークが韓発協の役割だと思う。民間企業と公共機関が相互補完的な関係を成していけば、現在韓流が直面している困難な状況を解決していくことができると思う。


-これまでの韓流はK-POPやドラマなど大衆的なコンテンツが主流であった。次の韓流はどのような内容になると思うか?

映画、ドラマ、K-POP以降は果たして何が主流になるのかについて多くの関係者が今一生懸命悩んでいる。それを“新韓流”と呼ぶ。個人的にはファッションや食文化が次の韓流の主役ではないかと思う。これまでは‘見せるもの’、‘聞かせるもの’に集中したとすれば、これからは直接‘味わうもの’、‘着るもの’になると思うからだ。駐日韓国文化院で毎年開催される「K-POPコンテスト」というイベントがある。日本人たちが韓国歌手の歌を一緒に歌う大会で、大会に参加するために韓国語も勉強し、歌手のファッションもマネする。また、周りの日本人たちがドラマで見た韓国の焼酎を楽しんで飲むことをよく見る。さらに多くの日本人が新大久保のようなコリアタウンを直接行って韓国の食文化を味わっている。まだ韓国のファッションは日本より弱いというイメージだが、好きな韓国で作られた服を直接着たいという雰囲気も徐々に広まっている。
このような観点から今後、大韓民国というコンテンツの工場は、より良いコンテンツ制作に邁進しなければならないのはもちろんである。


-日本国内の韓国政府機関に望みがあれば?

現場を見て、声を聞くことが何よりも重要だ。野戦司令官の意見を聞いていない以上、良い戦略は立てられないのは当然なこと。そのためには権威主義を捨てなければならない。現在の駐日韓国文化院のシム・ドンソプ院長は形式にとらわれなく、現場の声に耳を傾ける優れた人柄を持っている。政府機関の長としてあるべき姿だと思う。日本に住む韓国人たちのために存在する公共機関であるだけに、権威を下ろして現場のことをたくさん思ってくれれば、より発展的な方向に韓流を導くことができる。


-韓発協の今後の目標は?

最近韓発協の内部でイシューになっているのが、NPO設立に関連する話だ。親交の目的で始まったため、何らかの事業を推進しようとする際には多くの限界点が剥き出される。実務を構成し、資金も調達できるNPOの設立を介して、韓発協の活動をより広げる足場を作ろうという考えだ。現在検討中だが、韓発協がブレーンとなってNPOが手足になる形になる方向で話しが進めている。
NPOの目的と活用方案に関連しても、多くの議論が進行中だ。一応、韓発協の持つネットワークを利用した韓流の広報におおむね焦点が合わせている。例えば、日本進出を計画する芸能人や企業に、関連する情報を提供して広報を支援する役割のことだ。日本社会に根付いて活動する韓発協の会員社を通じれば、日本最大の広告会社に匹敵するほどの人脈と情報ネットワークを獲得することができる。韓発協のこれらの利点を活用して事業を展開する予定だ。得られる収益は、再び韓流の発展のための支援基金として活用する考えだ。

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