日本貴金属市場の‘成功神話”、在日韓国人貴金属協会 黃秉德 会長
入力 : 2013-07-22 18:45:20 / 修正 : 2013-07-22 18:45:20

 

今年の初めに在日韓国人貴金属協会の第7代会長に就任した黃秉德 会長。

 

[スポーツソウルメディアジャパン|安・ビョンチョル記者] 現在日本市場で製造される貴金属製品の約70%が在日韓国人の手で作られているという事実はあまり知られていない。特に高級貴金属は、ほぼ全量が韓国人の手で仕上げられているといっても過言ではないほどだ。
職人の国、日本でも韓国人の手の素晴らしい技術は認められているという意味だが、初めからそうであったわけではない。多くの先輩たちの涙と苦労が、その中にきちんと積み上げた結果であろう。


在日韓国人貴金属協会の黃秉德(ファン・ビョンドク)会長もその先輩たちの中の一人だ。技術だけを信じ単身で日本に渡って来た時は、韓国人に対するイメージはもちろん、待遇も良くなかった時代であった。黃会長は、「最も漠然として悲しい時期だった」と、狭い作業室で昼夜を問わず仕事ばかりしていたその時を回想する。人生の暗黒期だったが、夢があったから黙々と歩くことができたと語った黃会長は、現在日本で宝石の製造・加工企業の「(株)コンベント」を運営し、日本の貴金属業界で成功した企業家として名を上げている。


そんな彼が今年の初めに在日韓国人貴金属協会の第7代会長に就任、再び貴金属界での在日韓国人の復興期を迎える準備をしている。日本に対する深い知識とビジネス能力を備えった協会長として期待が集まる中、<スポーツソウルメディアジャパン>が黃会長と直接会って在日韓国人貴金属協会の現状や計画などを聞いてみた。


- 在日韓国人貴金属協会の歴史と活動について
1997年7月4日、貴金属業界に従事している何人かの方々が出会い、協会を設立した。韓国の貴金属の専門家は、1970年代後半を皮切りに日本市場に本格的進出することになった。1980年代、日本がバブル時代に入ると、その数は爆発的に増え東京だけでも1000人を超えるほどに最盛期を迎えた。同じ業界に在日同胞が増えるのは嬉しいことだが、先輩と後輩が突然の事故や災害に対して対応する能力がまだ足りなかったのも事実だ。このような困難な問題をみなで解決しようという趣旨で、在日韓国人貴金属協会という名の下に集まったのだ。会員の子供に対するハングル教育や民族教育、後進の育成なども同じ旨で展開している事業だ。
現在はその数が大幅に減ったが、代わりに在日韓国人たちが直接経営する会社が増えて、今は150の企業が存在する。従事者の数は約500人に達すると推定している。この中の約300人が在日韓国人貴金属協会の正会員として活動している。


- 最近、会員の動向は?
2年前の東日本大震災以降、日本の景気がさらに悪くなった。貴金属業界は景気に特に敏感だが、景気が良くなると貴金属の需要が徐々に上昇するのに対し、不況には貴金属の消費量が最初に減るからだ。現在、多くの会員の方々が苦戦しているが、一生懸命に活路を模索している。このような困難な時こそ、会員の調和と健康を最優先に考え、協会の事業を牽引していく方針だ。


- 協会側から重点的に推進する事業があれば?
在日韓国人の子どもが日本の中で生活しながら韓国語ができなくなるのを見て大変残念だったと思った。その意味で、在日韓国人の2世、3世を対象に韓国語講座を運営している。初期には困難な点もあったが、会員の協力で現在は人気プログラマとして定着した。
この他に会員の和合として、毎年3月に婦人会を中心に上野桜祭りで屋台を運営し、10月には親善ゴルフ大会も開催している。11月には、在日韓国人貴金属協会の特性を知ってもらうため、宝石の展示会を毎年開催している。各種の収益事業をもとで2006年からは会員の子供を対象にした奨学金事業を開始しており、また、会員の知的向上をサポートするという意味で日本語教室やiPhoneの勉強教室などを運営している。

 

日本貴金属市場の‘成功神話”と呼ばれる黃秉德 会長が運営する(株)コンベント。

 

- 今回、協会の社屋を新しく購入したと聞いた。感想は?
個人的に私の会期中で新社屋を購入したことができ、大変光栄に思っている。しかし、決して私の力だけで成し遂げた成果ではない。初代のパク・ジェリム会長から6代のキム・ギョンジン会長まで、多くの方々の苦労と努力があったから可能になったと思う。
以前の社屋は非常に古っかた。地震でも起きれば揺れが激しく、建物の所有者から崩壊する可能性があるため移転を勧められた。これをきっかけに新社屋と関連する多くの協議を行い、会員らの同意の下で、今後協会がさらに発展していく拠点として新社屋の購入を決定した。


- 今後、在日韓国人貴金属協会の発展のためにどのような点が重要か?
貴金属従事者たちが日本に渡り始めた1970年から数えると、在日韓国人貴金属従事者の歴史は約40年となる。最初は日本会社の従業員としてスタートして、製造業に事業を展開することになり、今は卸売や小売店を運営する会員が大幅に増加した。在日韓国人の貴金属産業がさらに発展できる道は、製造から小売までを一括して担当する能力と販売ノウハウを育てていくことだと思う。そのための事業を検討しており、すべての会員が成功することができる環境を造成していきたい。


- 大韓民国の政府に言いたいことがあれば?
在外同胞の一人として、大韓民国政府が日本とより親密な関係を構築することを願っている。両国が最も近くて真の隣国の関係を築くことができれば、在日韓国人貴金属協会の会員だけでなく、ここで懸命に働く在日韓国人の経済活動にも多く役立つと思う。


- 今後,在日韓国人貴金属協会の計画や抱負があれば?
何をしてもその中心となるのは"人"だと思う。長い間一緒にしてくれた人がいるからこそ今の私いると思う。しかし最近周りの多くの方々が色々なことで韓国に戻ることになった。在日韓国人貴金属協会の会長として、まず同業界の在日韓国人に最低限の支援をする方針だ。現在ワンルーム事業を検討しているが、より快適で安らかな空間を提供し、在日韓国人がここで定着できるよう最善を尽くしていきたい。

 

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