左の上から時計回りにチェ・ジンホ、キム・ヒョンス、オク・ジェウォン、チェ・ヒスン、木瀬貴吉(ころから出版社代表)、加藤直樹(作家)、キム・ソル。


東京韓国学校高等部の1年生たちが日韓関係の回復のために意味のある行動に乗り出した。関東大震災の際に起きた朝鮮人虐殺事件を記録した日本人作家の本を韓国語に翻訳して出版することにし、冬休みの期間中にも翻訳作業に邁進している。16歳に過ぎない若い生徒たちがこのように政治的な色が濃い行動に乗り出した理由は、最近日本で吹き荒れた嫌韓ムードと密接な関係がある。


韓国と日本の中間地点に立っている少年少女たち。彼らの目に映った今の日韓関係と彼らが望む日韓の未来像はどのような姿なのか、学生たちが翻訳作業に出たきっかけを通じて調べてみた。


東京韓国学校高等部のサークルKCPC(Korean Culture Promotion Club)のオク・ジェウォン、キム・ヒョンス、チェ・ジンホ、キム・ソル、チェ・ヒスンが翻訳している本は、加藤直樹作家の「9月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響」だ。


作家の加藤直樹。


加藤氏は、2013年9月、関東大震災際に起きた朝鮮人虐殺を、自分のブログを介して連載し、大きな反響を呼んだ。現場訪問と直接収集した膨大な資料をもとに、当時の惨劇が発生した時間に合わせてブログを更新し、日本で起きた歴史惨劇を今を生きている日本人にありのまま伝えた。同連載を綴って出したのが「9月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響」である。.


加藤氏がこのようなブログを始めた理由は、90年前の惨劇が現在の東京のど真ん中で起きている姿を目撃したからだ。2013年9月、新大久保を訪れた彼は、在日特権を許さない市民の会(在特会)が行っていたヘイストスピーチを目の前にする。当時彼は「1923年9月に発生した、首都圏を大混乱に陥れた関東大震災直後の様子を見るようだった。“朝鮮人を殺せ”と叫ぶ人が日本に出没したのは関東大地震以来、初めてだ」と、大きな衝撃を受けたという。


翻訳作業に参加しているKCPCのオクさんは「友達と学校の制服を着て歩いたり、道で韓国語で喋ると、お爺さんたちから悪口を浴びせられたり、体をぶつけられたりする。力のない私たちは何も言わずにじっとするしかなかった」と自分の経験を語りながら、「本当に卑劣なことは、子供や女だけにそういう態度に出るのだ。そのようなことを直接経験するたびに、日本人が怖くなる」と今の心情を率直に語った。オクさんの経験は、2012年、李明博(イ・ミョンバク)前大統領の独島(日本表記:竹島)訪問以降に日本で急速に拡散している嫌韓の雰囲気が現地で暮らしている韓国人の実生活にどのように影響するかをよく物語っている。


作家との対談。


しかし、このような険悪なムードは日本だけで目に見えるものではない。オクさんは「韓国のポータルサイトでは、日本に対する度を過ぎた悪質なコメントや誹謗、根拠のない情報が書き込まれている。今の日韓の状況を見ていると、韓国と日本の中間地点に立っている私たちは、たくさんの懐疑感と混乱さで悲しくなる」と、両国の嫌韓・反日の雰囲気が極めて似ている事実に戸惑いを隠せなかった。


東京韓国学校の生徒たちが本を翻訳する理由もここにある。5人の高校生が憂慮したのは、誤解と嫌悪によって悲劇の歴史が再び繰り返されるもの。生徒たちは、両国の歪んだ関係を正すことができるきっかけや象徴が必要ではないかと悩んでいる際、加藤氏の本に接するようになり、本の中で希望というものを発見したという。オクさんは「お互いを嫌って勝手に誤解している人も多いが、そうでない人も必ずいる。加藤氏がその代表的な人。そのような希望が記録されている彼の本を韓国と日本の間にいる私達が翻訳することによって、さらに大きな意味を持つことになると思った」と、プロの翻訳家にも手ごわい本の翻訳に挑戦するきっかけを説明した。


ちなみに、「9月、東京の路上で」には関東大震災当時、偽りの噂に扇動された日本人が朝鮮人を虐殺する事件を記録しているが、命をかけて朝鮮人を守った日本人たちの話も伝えている。生徒たちが見つけた希望はこういう部分で、険悪な雰囲気の中でも屈せず声を上げる加藤氏のような知性こそ、両国の将来の鍵だと考えているのだ。


昨年11月には、作家との対談も行われた。


昨年11月には、作家との対談も行われた。自分の本を高校1年生たちが翻訳したいという話を聞いた加藤氏の要求で実現された対談会では、2時間に及ぶ熱い討論が繰り広がった。生徒たちと直接会った加藤氏は同本が持つ意味と意義を説明しながら、「日韓関係の中で悲劇的な歴史は二度と繰り返されてはいけない」と声を高めた。また、「本の中で描かれている朝鮮人を守った日本人たちは、個人としての朝鮮人を守った。殺した人は、記号としての朝鮮人を殺した。記号は殺せるのだ」と、扇動と噂で作られた偽りがどんなに危険なのかを強調した。


昨年12月初めから翻訳作業に入り、現在は本の3/4までの1次翻訳が完了した状態。翻訳作業が完了すれば、東京韓国学校の図書館に寄贈される予定で、韓国での出版も視野に入れている。


スポーツソウルジャパン|安・ビョンチョル

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