在日本大韓民国民団中央本部 団長 呉公太(オ・ゴンテ)


民団が「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」の成立と関連して談話文を発表した。

以下は談話文の全文


「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」成立にあたっての談話


本日、衆院本会議において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が可決され、成立しました。


本団はヘイトスピーチの暴力に晒される当事者の立場から、数年間にわたって根絶の為に様々の活動を展開してきました。300を超える各地方自治体での意見書採択や数々の学習会・研修会の開催、各法務局への要請行動、ヘイトの現場での直接的な抗議行動は言うに及ばず、本国のみならず国連人権差別撤廃委員会への陳情等の国際世論に向けての活動をも展開してきました。日本人市民グループの現場での粘り強い行動、法曹家、言論人、そして心ある政治家の皆さんの行動もあって本日の可決の日を迎えるに至りました。


かねてから指摘しているように、この法律がそもそも罰則規定を伴った基本法ではないこと、理念法であってもヘイトが禁止であると言った条項が明記されていないこと、保護対象が「適法に居住するもの」として、日本国内の数々のマイノリティを除外するかのように普遍的な人権擁護の観点からも大きな問題を抱えています。確かに衆参の法務委員会での質疑のありよう、付則、付帯決議事項によって補完されてはいるもののまだまだ不十分であると言わざるを得ません。


それでもヘイトスピーチの暴力が野放しであった状況を変えてゆく重要な起点となるものであり、根絶に向けての大きな歩みを意味するものとして本団はこの法律を意義付けするものです。附則にも施行後の状況を鑑みた上で「必要に応じて検討を加える」としており、法施行の結果を踏まえた上でのこの法案の実効化に向けての更なる取り組みを続け、更には人種差別撤廃条約の理念・水準に見合った基本法の制定をめざしてゆくものです。


2016年5月24日
在日本大韓民国民団中央本部団長 呉 公大



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