韓国で大ヒットを記録した『ミセン-未生-』。


仕事や家族を通した、誰しもが感じるサラリーマンの悲哀を表現し、韓国で大ヒットを記録した『ミセン-未生-』。それを受けて、日本でも7月クールからHey! Say! JUMPの中島裕翔を主演に添え、日本タイトル『HOPE~期待ゼロの新入社員~』としてスタートした。しかし、韓国での『ミセン』の快進撃の足元にも及ばず、低迷が続いている。その理由とは何なのか。


ストーリーは『ミセン』を忠実に表現し、そこまで大きな変更は見られない。ということは、基本的なストーリーは保証されており、これは問題ではなさそうだ。私が考えるに、低迷の原因は総合的に様々なものが掛け合わされた結果ではないかと思う。
演出であれ、キャストであれ、何か秀でたものが欠点をカバーできていればいいのだが、すべてが不協和音をきたし、ストーリーが進むにつれ視聴率が低下するという悪循環に陥っているような気がしてならないのだ。


低迷の原因その一は配役ミスだ。主人公の中島演じる一之瀬は、ミセンでイム・シワン演じるチャン・グレのキャラクター同様、確固たる意志を持っているものの、自己主張がなく、長いものに巻かれろ雰囲気に相似し、問題はない。が、その主人公を支えるキーパーソンである脇役が問題だ。イ・ソンミン演じるオ・課長と遠藤憲一演じる織田課長、遠藤自身は問題ないように思われるが(演出に問題がある。これは後述する)、もう一人のキーパーソン、主任であるキム・デミョン演じるキム代理を日本では安芸主任役として、山内圭哉が演じているのだが、キム・デミョンの演技を見て、山内の演技を見ると、すごく安っぽいのだ。韓国では見られない、コメディ要素も日本では入れられているのだが、コメディもシリアスも演じ切れておらず、そのおぼつかなさに見ているこちらも困惑する始末。


ほかにも、営業三課に送り込まれた刺客、江部徹役として登場した宮川一朗太も、韓国のキャストと比べると物足りない。セリフは嫌味たらしいのだが、演技が残念ながらついてきていない。ついてきていないというか、この配役たちが演じる営業第三課の雰囲気をかき乱す役柄としてはマッチしていない。ただでさえ爽やかな営業三課に、爽やかに嫌味を言ったとこでハレーションがまったく起こらないのだ。


韓国で大ヒットした『ミセン未生-,』の主人公を演じたイム・シワン。

同期の人見省吾役の桐山照史もミスキャストだ。軽さがウリのムードメーカーなのだが、韓国でのこのキャラクターは、自分の暗い過去があるうえで、反動での軽さなのだが、それが日本ではうまく描かれていないため、単なるチャラ男で終わっている。
 

そしてすべての悪の根源は演出だ。演出を助ける音楽も臨場感がなく、映像の見せ方も、淡泊すぎて緊張感が伝わってこない(強面でハスキーボイスの遠藤憲一が醸し出す独特の存在感が台無し!)。ダイレクトで多すぎる(説明臭い)セリフのせいで、興ざめしてしまうのも原因だ。


例えば、同期の山本美月演じる香月がセクハラを受けて前職を退社し、この会社でもセクハラまがいを受け、それを一之瀬達が慰めるというシーンなのだが、そこに行きつくまでに、セクハラをダイレクトに説明しすぎて、視聴者が感情移入する以前に全てセリフで説明が終わってしまうというお粗末さ。そのせいで、視聴者そっちのけで話が一方的に進んでしまうので、大事なクライマックスでまったく感動できないのだ。それを助ける音楽もなければ、演出もない。
 

何なら、最後の爽やかすぎる『スピッツ』のエンディングソングも、次への期待が薄れてしまう。社会派ドラマには合わない。低迷の原因は主演の中島だとばかりバッシングを受けているが、私が思うに、この低迷はスタッフの製作ミスによるところが大きいのではないかと思う。


THE FACT JAPAN|松庭直



  • (1/20)
  • Editor’s Choice
  • TOP10
  • Keyword News
  • Click Starwars TOP10