14日、現代自動車労組は、ストライキに対する賛否投票の結果、80.4%の賛成率でストライキを決定した。

 

[スポーツソウルドットコム|ファン・ジュンソン記者] かつて米国自動車産業の本場と呼ばれたデトロイトが先月18日、破産申請を行った。1950年の人口は200万人に達し、GM、フォード、クライスラーなどの3大自動車企業の本拠地であったアメリカの大都市“デトロイト”は、現在、人口70万人の小都市に転落した。負債20兆ウォン(1.8兆円)、貧困率38%、犯罪率3位が今のデトロイトの姿だ。


デトロイトの衰退原因については、分析が分かれているが、強硬な自動車労組の過度な賃上げや医療保障、自動車会社の経営陣の甘い対処が共通点として挙げられる。もちろん、過度の金融依存、政治の失敗、公務員の過剰な福祉要求なども原因に挙げられるが、車の街と呼ばれたたげに強硬な労組と自動車会社の責任回避に非難が集中する模様だ。


実際にデトロイトの強硬な自動車労組は、会社側に過度な賃上げなどを毎年要求し、それに疲れた自動車会社は、メキシコで作られた車にも"made in USA"のレッテルが付けられる北米経済協力条約(NAFTA)が締結されると、デトロイトを直ちに去っていった。それがデトロイト破綻の出発点であるわけだ。


問題は、デトロイトの破産が他人のことではないというのだ。最近の韓国の蔚山(ウルサン)現代自動車で見える強硬な労組と社側の対立が、過去のデトロイトと非常に似ている。
今年の現代車労社は、17回の賃金交渉を行ったが、合意点を見出せなかった。結局、14日、現代車組合員の80.4%がストに賛成し、20日から合法的な労働争議が始まる見通しだ。


しかし、今回のストに人々の視線はあまりよくない。過去に現代自動車の労組が行ったストは、多くの人の支持を受けた。労働者の権利を代弁する現代車がストを決定しないと、他の金属会社の労働者も声を上げる名分が生じなかったからだ。しかし、今は、彼らに対する指摘も相当見える。高い年俸をもらう“貴族労組”という指摘に加え、自分の子供たちに職業を世襲する“雇用世襲”も図ろうとする動きが見え、「形だけの労働者」という皮肉の言葉まで聞こえる状況。


現代車によると、昨年の現代車の労働者は平均9000万ウォン(約800万円)に達する年俸を受けているという。労働が厳しいという面はあるが、受け取るお金の額を聞くと誰もが驚く。さらに、今年の賃金交渉で現代車の労組は、基本給13万498ウォン(約1万2千円)の賃上げ、ボーナス800%支給、成果給として純利益の30%支給、定年を61歳に延長、1年以上勤続した組合員の子供に中・高・大学の入学金と授業料を全額支援(大学行けなかった子どもには、技術取得の支援金で1000万ウォン支援)、労働組合活動に対する民事•刑事上の責任免除要求、40年以上の長期勤続者にボーナス200%支給、30年以上の勤続者に車の購入の際35%の割引などを要求した。もちろん、社側がすべての要求を受け取ってくれることは皆無だが、一部では、これを全部合わせると年俸が2億ウォン(1.8千億円)に達すると分析しだ。


これに対して労組は、「この要求案は、他の企業ではやっていることで、我々は受けていない」とし、「計算が膨らませた。一部では我々が億台の年俸を受けていると主張しているが、誤解だ。要求のことを合計すると、昨年より2400万ウォン(210万円)ほど引き上げになる」と説明した。
会社側も「マスコミが単純計算したものだ」と述べた。もちろん、社側も非難されている。現代車は今まで“その場しのぎ式”に労使紛争を処理してきたため、原則のない労使観で一貫しているという非難を受けている。


成長と分配は一緒に行われなければならない。しかし、成長を脅かすほどの分配は避けるべきではないか。また、無鉄砲式の分配ではなく、原則の上で成長と分配を確立しないと“健康な労使関係”は成立できない。現代車は、蔚山工場のストに備え、海外生産を増やす対策を講じている。まさに北米経済協力条約が締結されるとデトロイトを未練なく離れたアメリカの自動車会社が頭に浮ぶ。


「神はデトロイトを去った」という言葉は、米国のデトロイトでたまに目に当たるフレーズだが、韓国では「神は蔚山を去った」というフレーズが見当たらないで欲しい。
 

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