ソウル・永登浦洞(ヨンドゥンポ・ドン)にある永登浦伝統市場(下の写真)の入口付近では、大根や白菜など、さまざまな野菜を並べて販売しているが、取材時間のうち誰一人買う人がいなかった。その反面ソウルの富裕村、江南区(カンナム・グ)清潭洞(チョンダム・ドン)にあるSSGフードマーケットでは、多くの人々が秋夕を迎えて祭事料理の材料を購入するため、終日門前市を成している。|撮影:パク・ジヘ記者

 

[スポーツソウルドットコム|パク・ジヘ記者] 韓国最大の伝統祭日「*秋夕」を迎え、祭事料理の膳立てに韓国主婦らが忙わしい。
〔*秋夕(チュソク、추석)は、韓国で陰暦(時憲暦)の8月15日(中秋節)を指す言葉。祖先祭祀や墓参をはじめとする行事が行われる重要な祭日である。韓国では前後3日間が祝日であり、帰省シーズンとなる(日本のお盆に当たる)〕
しかしその中には、買い物袋に品物を入れる一方で手強い値段に悩む風景もある。このため殆どの主婦らは、手にとったものを取ったり離したりを反復する。だが、中では値段には気にせず“最高価の品物”だけをこだわりながら、プレミアム・フードマーケットを訪問する主婦らもいる。
<スポーツソウルドットコム>は、この“両極端な値段”で秋夕の祭事材料を販売するプレミアム・フードマーケットと伝統市場を比べてみた。


◆清潭洞奥様の御用達の店は、価格1位の新世界“SSGフードマーケット”、2位はギャラリア百貨店の“グルメ494”


秋夕の前日である17日、ソウル・清潭駅付近にある「SSGフードマーケット」(新世界グループが運営)を訪問した。
ここで販売している果物・野菜などは、その殆どが有機農食材であり、各パッケージには“親環境マーク”が付いている。そのため値段も手強いものだった。特に国内産の梨が1個に1万3800ウォン(約1200円)、りんごは1個当たり6800ウォン(約600円)くらいで販売されていた。該当コーナーにいるスタッフに聞くと、「同じ果物でも、ここで販売する商品は最上級の有機栽培のものだけを出しています」と言いつつ「流通、場代、ブランド値などが含まれるため、よその店より値段が高いものもあります」と述べた。
1万ウォンを軽く超える値段にもここを訪れた主婦らは、一度手に取った果物は戻さなかった。梨を購入した主婦のキム氏(39)は、「値段は負担にならない」と答えた。
一般的にリーズナブルな卵や豆腐も、ここでは相当な金額だった。有機農卵は10個入りで7800ウォン(約700円)、毎朝配達される朝鮮味家の豆腐も1丁4500ウォン(約400円)で販売している。特にこの豆腐は、訪問する主婦10人の中で7人が購入するほど人気ものだった。
高価商品はSSGだけではない。清潭駅からバスか地下鉄で20分距離にあるギャラリア百貨店内の「グルメ(Gourmet)494」もSSGと同様な価格代の品物を揃えていた。またここは、買い物とともに食事ができるフードコートが設けられている“プレミアム・マーケット”でもある。
ここでは、膳立てに使われる梨1個が7800ウォン、りんごは1個3300ウォン(約300円)だった。特に豆腐はSSGより高い5400ウォン(約490円)で売られていた。豆腐コーナーを訪問する主婦らは、一部大手食品会社が販売する豆腐に全く興味がない様子だった。ここのスタッフは「毎朝仕入れる新鮮な豆腐で、賞味期限3日のものです」と言いながら、1丁5000ウォンもする豆腐を勧めると、殆どの客たちは迷わず豆腐を買い物袋に入れるという。
他にSSGとグルメ494ではさまざまな“秋夕特別贈り物”が見られた。特に贈り物の定番的なものである“イシモチの日干し”は、10尾1セットが20万ウォン(約1万8千円)から120万ウォン(約11万円)ものまで揃えている。
SSGとグルメ494で最も売れ筋の高い商品は、20万ウォン~30万ウォン台のイシモチセットだった。グルメ494のスタッフは「この商品も最上の品質を自慢します」と言いつつ「イシモチは、秋夕の当日午前になると完売になるはずです」と、その人気を実感させた。


◆リーズナブルで勝負する伝統市場…りんご1個に1000ウォン(約90円)


高価商品を販売するプレミアム・フードマーケットとは違って、伝統市場では相当リーズナブルな商品が販売されている。ソウル・永登浦(ヨンドゥンポ)伝統市場では、たくさんの商人らが物を売るために、通り過ぎる人々に向かって「とにかく安くしますから」と叫んでいた。殆どの店は販売する品目の値段を紙切れで作った値札をおいて、金額がひと目で分かるようにしていた。
清潭洞で1万ウォンもする梨1個の値段が、ここでは2000ウォン(約180円)、りんごは12個入りで1万1千ウォン(約1千円)で販売している。店ごとにそれぞれ違う金額ではあるが、ほぼ同じ程度で販売した。
果物を販売するキム氏(63)は、「それでもなかなか売れない」とため息しながら、店を訪れる客らに試食を勧めた。
ここでは20万ウォンもするイシモチはなかった。イシモチを売る店は皆5尾1セットを5000ウォン(約450円)で販売した。10尾を買っても1万ウォンなのだ。ある魚屋の主人は「10尾買ってくれれば、追加で2尾あげる」と負けてくれた。また1kgずつ販売する胡麻、雑穀、栗なども、全て定価より安く販売していた。
こうして市場で販売される商品の殆どは1万ウォンを超えなかった。しかし市場の商人らは、これほどのリーズナブルな価格にも関わらず、「もっと負けてあげられる」と口を揃えた。市場で商売歴が長い60代女性は「再訪問させるために、もっと安くしておまけもたくさんあげる方法で売っている」と述べた。

 

清潭洞にあるSSGフードマーケット、グルメ494の一部商品と、伝統市場で販売している商品は、最大14倍にも及んだ価格差だった。

 

◆最大14倍“両極端な値段”にも伝統市場は“がらんと”主婦は“大型スーパーが好き”


プレミアムマーケットでは梨1個の値段が1万3千ウォンもするが、伝統市場では2000ウォンに過ぎなかった。また秋夕の膳立てで最も多く使われる卵も、2倍の差異があった。
特に金額差が激しかったのは穀物だった。SSGでは胡麻100gに1万4千ウォン(約1200円)で販売したが、市場ではなんと1千ウォンだった。同じ品目なのにその差は“14倍”もした。


秋夕の定番的なおやつ“韓菓”も7倍の価格差があった。SSGとグルメ494では同じ韓菓を1箱20万ウォン(約1万8千円)という同じ金額で売っていた。スタッフらは“手作り”“有機農”“親環境”という言葉を付け加えながら最上品だと強調した。ちなみに伝統市場では3万ウォン程度で買えられる韓菓だった。
しかし、このような手頃な価格でも伝統市場を訪れる消費者はとても少なかった。実際SSGとグルメ494の面積は永登浦伝統市場の半分にも及ばないが、両店舗のレジ台は常に行列ができていた。反面伝統市場の売り場は、客より商人の数が多かった。
永登浦伝統市場は、一周するのに約15分もかかるほどの大きな規模だが、各区域では客数が20人もいなかった。そのため一部の商人らは付近で売っている食べ物などを買ってきて一緒に夕食を済ませたり、1軒の店に集まって会話をしていた。
伝統市場の利点にも関わらず、プレミアム・フードマーケットを訪れる大概の主婦らは、単純に「値段の理由で伝統市場は行かない」と口を揃えた。
SSGで会った主婦のキム氏(39)は、「価格的な面でみると、伝統市場より大型スーパーマーケットに行くことが最近の消費トレンド」と言いつつ「いくら安くても伝統市場にはなかなか足が進まない」と述べた。
永登浦伝統市場を訪れたユン氏(41)も「ここが安いから来るわけではない」としながら「普段はきれいで快適な大型スーパーに行っている」と付け加えた。


 

 

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