グループ経営に関与していなかったロッテ家の長男・辛東主日本ロッテ副会長(左)が最近ロッテ製菓(韓国)の株式を相次いで購入しており、弟の辛東彬ロッテグループ会長と後継者競争を企んでいるのではないかという観測が出ている。|スポーツソウルドットコムDB

 

[スポーツソウルドットコム|ファン・ジンヒ記者] 最近、韓国財界で最も注目を集めているのが、ロッテグループだ。これまで、グループ経営には関与していなかったロッテ家の長男、辛東主(シン・ドンジュ、59)日本ロッテ副会長がロッテ製菓の株式を相次いで買い取っており、弟の辛東彬(シン・ドンビン、58)韓国ロッテグループの会長との後継競争が起きるのではないかという観測が提起されている。


ロッテグループ側は、“責任経営”の一環として株式を購入しているだけだときっぱり線を引いているが、財界の一角では、父の辛格浩(シン・キョクホ、91)ロッテグループ総括会長の健康に異常が発生した場合、近い内に“兄弟の争い”が起きる可能性が高いという意見を出している。


◆辛・兄弟、株式持分の買収競争
18日、韓国のロッテ製菓は取引終了時の公示を通じて、15〜17日に辛東主副会長が自社株577株を購入して保有率が3.57%から3.61%に上昇したと発表した。辛副会長は、これに先立つ6月にも、ロッテ製菓の6500株とロッテ七星飲料の7580株を買い入れであり、8月と9月にもロッテ製菓の株をそれぞれ643株、620株を購入し保有率を徐々に増やしてきた。これにより、今年の半ばまでは3.4%台だった辛副会長のロッテ製菓の持ち分は、4カ月だけで3.61%に上昇した。


辛副会長の相次ぐ株の取得にロッテ製菓側は、「辛東主副会長がロッテ製菓の株を買い取る内容を公示しただけで、その背景については全く知らない」と語った。
父である辛格浩会長の意志に基づいて日本事業を担ってきた辛副会長が、ロッテ製菓の株式を徐々に増やしていくことについて業界では、「非常に異例的なこと」と口をそろえている。


兄弟の中で先に系列会社の株を買い取ったのは、辛東彬会長だった。辛会長は今年1月にロッテフードの株式を1.96%に増やし、5月にはロッテケミカルの6万2200株を買い付け、持ち分を0.3%高めた。6月にはロッテ製菓の6500株とロッテ七星の7580株を相次いで買収した。9月9日から13日まではロッテ損害保険の株100万株(1.49%)を購入した。辛会長は今年だけでロッテフード、ロッテケミカル、ロッテ製菓、ロッテ七星飲料などの株式を少量で購入してきたのだ。


辛副会長がロッテ製菓の持分の確保に集中したとすれば、弟の辛会長は様々な系列会社の株式を均等に買い込んでいる。

 

弟の辛副会長と兄の辛会長が保有するロッテショッピングの持分はそれぞれ13.45%と13.46%で、0.01%pの差に過ぎない。

 

◆辛副会長、なぜロッテ製菓か?
辛副会長はなぜ“ガム”事業で大金を稼いロッテ製菓の株式を買い付けるだろうか?その答えは、ロッテ製菓がロッテグループの中で持つ象徴性から見つけられる。1967年に設立されたロッテ製菓はロッテアルミニウム、ロッテ七星飲料、ロッテ三岡などと一緒に今のロッテグループの根のような会社で、自分の手で日本からビジネスを展開した辛格浩会長の愛情が格別なところにもよく知られている。実際に辛格浩会長のロッテ製菓の持ち分は6.83 %で、二人の息子よりも多く保有している。
時間の経過によって、ロッテグループの支配構造がロッテ製菓からロッテショッピングに再編されたとはいえ、今もグループ内で飲食業界の持株会社の役割を果たすのはロッテ製菓だ。ロッテ製菓は2011年10月ロッテ製薬を吸収合併し、また最近ではロッテショッピングからロッテ七星飲料の株式約6 %を追加取得した。


これと共に辛副会長は去る8月に日本のメディアを通じて、「韓国ロッテ製菓が進出している東南アジア市場を日本ロッテも積極的に攻略する」と明らかにした。また、7月中旬にタイのチョコレート工場の竣工式で、「日本で生まれたロッテお菓子を海外に進出させることが日本ロッテの役目」と述べた。
そのため、辛副会長が10年ぶりに大金をかけてロッテ製菓の株式を買い取ることについて、いくつかの疑惑が出回る状況だ。業界では、これまで"分業"体制を維持してきた日本ロッテと韓国ロッテの東南アジア市場に対する暗黙の約束が壊れたとみていた。また、グループ内で大きな象徴性を持つロッテ製菓を狙い、兄弟の株式競争が激化しつつあると受け取っていた。


◆鍵はロッテショッピング!
弟の辛会長が率いる韓国ロッテの売上高は、兄の辛副会長が率いる日本ロッテよりも13倍以上大きいが、ガバナンス上韓国ロッテが日本ロッテの支配下にある。また、グループの持株会社であり、支配構造の頂点に位置するロッテショッピングは、弟の辛会長が13.46%、兄の辛副会長が13.45%の株式を保有しており、0.01%pの差に過ぎない。
兄弟間の経営権紛争が起きるとしたら、“キャスティングボート”は3番目の大株主が握ることになるが、第3代の大株主が非上場系列会社のロッテホテル。ホテルロッテは日本ロッテホールディングスが19.2%を持っているが、兄の辛副会長が日本のロッテホールディングスの筆頭株主だ。このため、辛副会長は、ホテルロッテが保有するロッテショッピング9.58%を事実上支配することになる。


ここにホテルロッテはロッテ製菓3.21%、ロッテ七星5.92%、ロッテケミカル12.68%など30社以上の関連会社の株式を保有している。このような点から判断すると兄の辛副会長が弟の辛会長よりロッテグループの経営権により有利な立場になったとみられる。そのため、兄弟の株式競争は、“日本ロッテの辛東主、韓国ロッテの辛東彬”という暗黙的な経営権の構図に微妙な変化を与えているとみらえる。


しかし、ロッテグループ側は、「辛東主副会長と辛東彬会長の株式競争ではない。辛副会長は、余裕資金があるときに少しずつロッテ製菓の株を買っているだけで、これを株式競争にみるには余りにもその数が少ない」としながら、「また辛会長が取得したロッテ製菓とロッテ七星飲料の株は、今年の初めの頃にロッテショッピングとロッテ美都波が合併をする際に相互出資制限にかかった株だった。ロッテケミカルの株は責任経営レベルで買い取ったもの。後継の構図が確定されているだけに“株式の競争”、“経営権紛争”に見なすのは無理がある」と述べた。

 

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