サムスンが先月15日、「オープン採用」、「大学総長推薦制」、「書類選考の導入」などを骨子とした新しい採用システムを導入することにしたが、大学、就活者、政界、地域などの反発で同月28日に全面保留することを発表。今年上半期の新入社員採用は、昨年と同様に行われる予定だ。|スポーツソウルドットコムDB

 

[スポーツソウルドットコム|ファン・ジュンソン記者] 結局、新しい新入社員の採用制度に対する懸念は、的中した。サムスンが大学総長推薦制度の導入を発表してから、ある程度の反発はあるだろうという予想だったが、反発の強度は、それを遥かに上回っていた。
幸いなことに世論が尋常でないことに気づいたサムスンが、この制度を早期に全面保留することを明らかにして、騒ぎはやっと落ち着いてきた。しかし、こうした事態になるはずのことを、サムスンは何故事前に予測していなかっただろうか。韓国財界トップの“サムスンが決めたことだから”という論理が通じなくなった理由は、今の時代の情緒を理解していなかったことにある。


サムスンは大学の序列化を助長するなどの結果を憂慮して、大学に配分された推薦人数を公開しないことにしたが、就職率に非常に鋭敏な大学らは、これを守らなかった。人数が多く割り当てられた大学は広報の手段として、その逆の場合には、抗議の方法として使用したからだ。結果的には、あえて大学の広報が必要ないKAISTと浦項(ポハン)工科大学だけが約束を守った。


韓国は、特に地域感情と男女平等などには相当敏感に反応する。結局、サムスンが信じていた大学の“裏切り”で、大学別に割り当てられた推薦生徒が如実に明らかとなり、大学や就活生らは、サムスンが定めた人数に対する分析よりも、ただその数値に対して反発を示した。
サムスンは、「事業領域の特性上、工科大学を中心にして連携した学科を考慮した上に人数を決めた」と説明したが、人数が少なかった学校と地域は納得しなかった。事実上、表面に現れた数値だけを見れば、“差別を受けた”としか考えられないからだ。さらに、数値だけを見て記事を書いたマスコミも、否定的な世論の形成に一役買った。


実際に慶北大学(100人)の総長推薦人数が、全南大学(40人)に比べて高いが、慶北大学は1970年代から電子工学の特性化大学に指定されており、去る2012年基準1373人が工科大学を卒業した。同年全南大学は922名が卒業。別の例として110人が割り当てられたソウル大学は、1年に753人が工科大学を卒業して、約14.5%が書類選考を免除されたが、推薦人数が20人に過ぎない韓東大学の工学部卒業生は110人で、割合で見ると18%。むしろソウル大よりも高い。女子大学も工科大の卒業生徒数は、ソウル首都圏の大学の30%水準だ。


論争の中心となったのは、“大学総長推薦制度”が“サムスンへの内定確実”という認識だ。そもそも大学総長推薦制度は、サムスンが学校側に人材を推薦してもらうことで、書類選考免除のみの特権が付与されるだけ。SSAT(サムスン職務適性検査)と面接は、書類選考の合格者と同様に受ける。
しかしサムスンは、大学総長推薦制を実施する前に、十分な理由と説明をすべきだった。非公開で進行するつもりが、かえって大きな災難を呼んだわけだ。さらに、就職難に苦しんでいる青年たちの立場を真剣に考えるべきだった。


採用方法を変える時期としては間違っていない。
なぜなら、毎年約20万人が受験するサムスンの職務適性検査(SSAT)が「難関試験化」され、前例のない就職塾が量産されているからだ。関連書籍だけでも500冊以上にのぼる。それほど就活生がもっとも就職したい企業であるだけに、サムスンは新採用方法に注意を払うべきだった。

 

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