錦湖アシアナグループは3日、朴賛求錦湖石油化学会長(右)の運転手A氏を、“房室侵入及び背任収贈財罪”などの疑いで警察に告訴した。|スポーツソウルドットコムDB

 

[スポーツソウルドットコム|ファン・ジュンソン記者] 錦湖(クムホ)家の兄、朴三求(パク・サムグ)会長(69)の錦湖アシアナグループ(以下、錦湖グループ)が、弟の朴賛求(パク・チャング、65)錦湖石油化学会長の運転手A氏を警察に告訴し、兄弟間の葛藤が再び高まっている。


朴賛求会長は先月16日、未公開情報を利用した株式取引と特定経済犯罪加重処罰法上の横領・背任の疑いが晴れて執行猶予が宣告され、“錦湖家兄弟の葛藤”は新たな局面に入るとの見方が提起されたが、今回の事件で兄弟の葛藤は再び深まると予想されている。
また、警察の捜査結果がまだ出ていない状況ではあるが、錦湖石油化学は朴賛求会長の側近である運転手が事件に関与しただけに、その背後の人物が誰であれ、道徳的な論争は避けられない見通しだ。


◆運転手がセキュリティ用役業者に指示、朴三求会長の秘書室に忍び込んだのは何故?
錦湖グループは3日午後、朴賛求 錦湖石油化学会長の運転手である部長Aさんと、セキュリティ用役業者のB氏をソウル・鍾路(チョンノ)警察署に告訴し、捜査を依頼した。錦湖グループによると、朴三求会長の秘書室の資料が外部に流出された情況を確認。自体調査を実施した結果、グループ会長室のセキュリティ用役業者であるB氏が錦湖石油化学の部長Aさんから差金を受け、秘書室のデータを盗んだことが分かった。


錦湖グループは、こうして違法的に流出された資料が、何者かによって錦湖グループを攻撃するために利用されてきたと判断し、セキュリティ用役業者のB氏と、これをそそのかした錦湖石油化学の部長Aさんを“房室侵入と背任収贈財罪”などの疑いで警察に告訴した。警察には、盗まれた書類の件数、犯行を煽った背後、その過程で行われた金銭取引の可否などを捜査依頼した。
*背任収贈財罪(韓国の刑法):他人の事務を処理する者がその任務について不正な請託を受けて財産や財産上の利益を得るか、ことによって行われる罪


錦湖グループの関係者は、「セキュリティ用役業者Bさんの供述書によると、去る2011年から80回にわたり秘書室に潜入して、文書を写真撮影し、このような違法行為をそそのかした者として、錦湖石油化学会長の運転手を務めている部長Aさんを指名した」と述べた。
これに対し、錦湖石油化学の関係者は「記事を読んで知った。現在、事実関係を把握している」とし「訴状を確認してから対応方針を決めるつもりだ」と戸惑う気持ちを隠せなかった。


警察の捜査結果で明らかになることだが、この事件で錦湖石油化学は、道徳性に少なくない打撃を受けるものと見られる。財界関係者は「錦湖グループが確実な情況と証拠なしで警察に告訴したとは思えない」と言いつつ「側近である運転手が事件に巻き込まれているだけに、朴賛求会長も自由にできない状況」と述べた。

 

セキュリティ用役業者のB氏が朴三求会長の秘書室に潜入して、書類を盗撮する姿が防犯カメラに捉えられた。|提供:錦湖アシアナグループ

 

◆兄弟間の和解は厳しい…アシアナ航空の株主総会に関心急増
二人会長兄弟の間に流れた和解の雰囲気も消えた。朴賛求会長が大宇建設の売却と関連して、未公開情報を利用した100億ウォン(約9億4千万円)台の株式取引の損失の回避、納品価の水増しを通じた横領などの容疑について、無罪判決を受けることになり、朴三求会長とは和解ムードとなると予想されたが、今回事件によって互いに対する感情はさらに悪化するというのが財界の分析だ。


事件は来る3月に開かれるアシアナ航空の株主総会にも影響を与えると思われる。持分12.61%でアシアナ航空の2大株主である錦湖石油化学が、相互出資による議決権の制限を根拠にして、持分率30%で筆頭株主である錦湖産業の議決権の制限を主張できるからだ。


アシアナ航空も錦湖産業の持分13 %を保有しているため、現行法に基づいて錦湖産業とアシアナ航空は、相互出資率が10 %を超え、互いの議決権が制限される。もし錦湖石油化学の主張が受け入れられて議決権の制限が行われれば、錦湖石油化学は議決権が制限された錦湖産業の代わりに、アシアナ航空の筆頭株主になる。昨年3月にも錦湖石油化学は、アシアナ航空の株主総会で社内取締役選任案に対して反対している。


◆会長兄弟の葛藤はいつから
会長兄弟の不和が始まったのは、2006年に錦湖グループが大宇建設を買収した時からだ。当時錦湖グループを率いていた朴三求会長は、朴賛求会長の反対にも関わらず、6兆6,000億ウォン(約5,644億円)をかけて大宇建設を買収した。これは当時、大宇建設の株価に197%に達する金額で、以後錦湖グループに*流動性リスクをもたらした。
*流動性リスク:“リクイディティリスク”とも呼ばれ、資産運用において、マーケット(市場)で取引高(取引量)が少ないため、株式や債券などを換金しようと思った時に、すぐに売れなかったり、希望した価格で売れなかったりするリスク(可能性)をいう。


以後2009年6月、朴賛求会長が持株会社の役割をしていた錦湖石油化学の株式を買うことになり、兄弟の葛藤は本格化した。当初兄弟は、錦湖グループの持株会社である錦湖石油化学の株式を10%と均等に保持することを約束したが、大宇建設の買収に不満を抱いていた朴賛求会長は、錦湖石油化学の株式保有率を10.01%から18.47%まで上げ、兄弟間で同等株式を保有するという約束を破った。
これに朴三求会長が、朴賛求会長を錦湖石油化学の代表から解任し、自分も経営から退きながら兄弟の経営権紛争は一段落したようだった。ワークアウトを行った債権団がグループを朴三求会長の錦湖グループと、朴賛求会長の錦湖石油化学に分けて系列社の分離作業を急いだのだ。以後2010年3月、兄弟が並んで経営に復帰することとなり、経営権紛争は区切りが付けられたように見えた。


しかし2011年3月、錦湖石油化学は公正取引委員会に錦湖産業と錦湖タイヤを、錦湖グループから除外することを申請して、兄弟の葛藤は手に負えないほど大きくなった。
同年4月、朴賛求会長は裏金の造成疑惑で検察の押収捜索を受け、12月に検察に起訴された。検察の捜査中に朴賛求会長は、朴三求会長を含めた錦湖グループの関係者4人を詐欺と偽証容疑で告訴し、事態はますます泥沼となった。


朴賛求会長には先月16日、横領、裏金造成疑惑などは無罪と判決。34億ウォン(約3億2千万円)に達する背任の容疑だけが認められ、懲役2年6ヶ月に執行猶予4年を言い渡された。

 

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